恵まれた女はアクティビストにはなれないのか

いつもより短いが重いエントリ。たぶん。

自分で言うのもなんだが、家庭環境はかなり恵まれていると思う。
小学校から私立に通わせてもらい、中学受験と大学受験では塾も行かせてもらい、大学の学費だってそんなに安くないし年数も長い医学部に、行ってもいいよと言ってもらって、実際進学した。やりたいと言ったことは(海外旅行以外は)なんでもやらせてもらったし、大抵のほしいものは買ってもらえた。世間一般から見れば、厳しいけど普通に優しい親と、まあそれの期待を60%くらいかなえた娘、というふうにとられるだろう。

最近ニュースなどを良く見るようになって、親がLGBTQ+の人に対して差別的であったり、韓国や中国に悪いイメージを持っていて態度を軟化させなかったりということが気になるようになってきた。それから私は、当事者の話を調べるようになり、その状況に愕然とした。
貧乏さゆえに、高校に通えなかった人。
虐待や性暴力を親から受けていた人。
痴漢被害に逢った人。
兄弟姉妹と比べられて、下に見られた人。
女性だから、外国人だから、性的マイノリティだから、という理由で、差別を受けた人。
夫から暴力を受けていたけれど、子供のことを考えて離婚できなかった人。
レイプ被害を訴えたのに、取り合ってもらえなかった人。
LGBTQ+を打ち明けたら、親から拒絶された人。
そういう人たちが、自分の経験から、いろんな活動を行っている。
そんな人たちの中に私が入って何ができるだろう。あんた何にも苦労したことない癖に、と言われてしまったら、私には返す言葉が何もない。

だって私は金銭面で何にも苦労していないし、女性であることから不便を感じたことも(親の「女の子なんだから」に反感を覚える以外は)ないし、痴漢されたこともないし、一人っ子だし、日本人と日本人から生まれて日本人っぽい顔をした日本人だし、たぶん性的マイノリティでもない(これに関しては私は、私のことを好きになってくれる人なら男女は問わないと思っているけど、今まで付き合ってきた人はみんな男性なので分からない)。
経験していないことには、本当には共感できないとは思う。経験したって、その環境、今までの人生、すべてが違うのだから、まったく同じ思いはしない。本当に人間がわかりあうなんて無茶だ。でも、その状況に思いを馳せて、こんな環境は間違っている、そう声を上げることすら、経験者でなければ許されないような、そんな気がしている。このご時世に男女差別の被害を受けていない女なんて、名誉男性なのだろうか。私はそんなつもりじゃないけれど、そういわれるならそうなんだろうと思うくらいには今、意志が揺らいできている。
男性を憎んでいるわけじゃない。前の記事(フェミニストを憂う:青識亜論氏のnoteから考える - ねむみ)でも書いたように、それはフェミニズムの本旨ではないと思っている。でもそう思えてしまうのも、私がなんの苦労もせず、被害も受けず、今まで生きてきたからなのだろうか。
別に答えがあるわけじゃない。ただ悩んでいる。コメント・記事告知ツイへのリプライ、お待ちしています。