いっぱい意見表明する君が好き

 芸能人の政治的発言が云々され始めたのは、コロナウイルスもさることながら、あの「#検察庁法改正案に抗議します」からではないだろうか。それより前、あまりそういうことを言っている人を見なかった。そもそも、政治的なような発言をしている芸能人を、ワイドナショーでしか見たことがなかった。
 否、一人、見たことがある。というか好きだ。twitterフォローしてる。芸能人の中で、誰よりも積極的に発信している(ように見える、私がフォローして発言を見ている芸能人が少ないだけかもしれない)人を知っている。LUNA SEAX JAPANの、SUGIZOさん。

 私がそのあたりのロックとかを聴き始めたのは最近(今年の3月)なので、彼のことを知ったのも最近なのだが、オタクの性か、およそ思い当たる情報媒体(twitterWikipedia、その他諸々)で彼のことを調べまくった。まあほとんど自己満足なので、7割は忘れているのだが。
 そこで、彼が難民問題に熱心だったり、政治についてちゃんと意見を持っていて、発信していたりすることを知った。勿論twitterをさかのぼりましたよ、ええ。ちゃんと考えて発信している。

 社会の問題について考えることは大好きなので、個人的にもいろいろ調べているのだが、いかんせん、考えて意見を持ってまとめても、発表したところで影響力もなければコネもない。どこかの新聞に紙面を持ってるわけでもない。twitterで書き散らしたところでフォロワーの一部しか見ないのである。どうしようもない。それが一般人の定めだ。名前を公表する意地もなく、それが許されているわけでもない(私の親はソーシャルメディアに大きな不信感を抱いているので私のネットでの活動はほとんど親に秘密である)私は、ますます無力である。
 だからこそ、有名な人、芸能人には、思ったことを言ってほしいのだ。思ったこと、考えたこと、言いたいこと、それをたくさん、発信してほしい。彼らはリスクを負っている。名前と人気を、一挙に失うかもしれないぎりぎりのところから、それでも発信するべきと発信された言葉は、その練られた思考を示している。考えている、感じている、それが私たちに通じる。別に賛成するといっているわけではない。そこから広がる、考えている人たちの列に、一般人が簡単にアクセスできる、分かりやすい道なのだ。

 私はSUGIZOさんの言うことに全面的に賛成してはいない、こともある。当たり前だ。育った時代も、環境も、過ごした時間の質も量も違うのだから。時として、それは手ぬるいだろ、と思うこともあれば、そんなに言わなくたって、と思うこともある。大切なのは、賛成できるかではない。意見を言うというカルチャーに触れられるかどうかだ。
 えてしてこういう人たちが意見表明をすると、そういうこと言うなだの別のアカウントでやれだの音楽だけやってろだのリプ欄が荒れるのだが、なぜそうなるのか私には分からない。彼が発言することで、そういう考えもあるんだな、と知ることができる、それが一番大切なのに。知りたくないのだろうか。知りたくないんだろうな。彼がそうやって言われて発言をやめてしまうことを、ないだろうけど、私は一番心配している。

 いっぱい意見を言う人が好きだ。発信をやめない人が好きだ。それは彼/彼女が、知ることと考えることの大切さを知っているから。意見に触れることがどれだけ大切か知っているから。